【米不足!?】スーパーからお米が消えたのはなぜ

お米のあれこれ

「令和の米騒動」などと騒がれている【米不足問題】日本はお米の収穫量が多いはずなのになぜお米が不足するのか。スーパーの棚からお米が消えてしまった原因を米屋の営業マンが解説します。

①米不足が起きている理由

②米不足はいつまでつづくのか

③お米の価格の行方

④【外国産】外国産米って美味しいの?

以上の4点について解説していきますのでぜひ最後までご覧ください!

米不足が起きている理由

①米不足は暑すぎる夏のせい

米不足が起きている主な原因の一つは、昨年の異常な猛暑です。今年も暑い日が続いていますが、お米にとって過度な暑さは天敵で、お米の品質が下がる原因になります。実はこの品質の低下が、米の収穫量に大きくかかわってくるのです。

2024年に入ってから、自宅でお米を炊くときに「白っぽいお米が多いな」と感じたことがある方は多いのではないでしょうか。この白っぽくなっているお米は「粉状質粒(ふんじょうしつりゅう)」といい、成熟しきれなかったお米なんです。我々米屋の間では「シラタ」「乳白粒」などとも呼んでいます。

お米は成熟していく過程で粒の中に「でんぷん」を生成し大きくなるのですが、8月から10月ごろの【登熟期】とよばれる時期に高温や日照不足などの強い影響を受けると、お米の粒にデンプンが詰まりきらないうちに登熟が終了してしまい、米粒の中に隙間や穴ができてしまいます。この隙間が光を乱反射してお米が白く見えるのです。

では、なぜ白いお米が「米不足」につながるのか。実は「粉状質粒」は白いだけでなく「小さく、割れやすい」といった特徴があるんです。お米は「玄米」の状態から精米機など様々な機械を通って、皆様の食卓へ並ぶ「精米」へと変化します。この精米の工程で質の悪いお米は弾かれていくのですが、今年は粉状質粒が多いため精米工程で多くのお米が弾かれてしまうのです。本来であれば100㎏の玄米から90㎏の精米が取れるはずが、今年は80㎏、モノによっては70㎏と、非常に歩留が悪いのです。結果として、玄米は例年通り収穫出来ていても、精米にしたら例年の7割程度だったという事態が起こっているのです。

②コロナ禍の終わりも一つの原因?

もう一つの要因は外食産業の復調です。コロナウイルスの蔓延により業績を落としていた外食産業・観光業といった業界が、コロナが明け数年前の活気を取り戻しました。結果として需要が一気に増えたことでお米の供給が追い付かず、米不足・価格高騰の一因になったのです。特に今年はインバウンド需要による影響もかなり大きいと考えられています。

米不足はいつまで続くのか

結論から言えば、新米の流通のともに米不足は解消されます。生育の速い地域、品種であればで8月下旬には新米が店頭に並び始めます。九州・四国地方のお米や福井県産ハナエチゼンなどの早生品種と呼ばれるお米たちです。9月に入れば各地方からコシヒカリなどの主要銘柄が精米卸や米屋に流通し、すぐに店頭に並ぶでしょう。今は売るお米がないので、新米を欲しがっているお店は多くあります。お米担当のバイヤーたちは新米の流通を今か今かと待ちわびているはずです。

ですが、懸念点もいくつかあります。まず、皆さんご存知の通り今年も大変厳しい猛暑です。米農家さんからは「今年も品質がよくなさそうだ」といった声もちらほら聞こえてきています。また、現在お米が不足している状況にあるため、新米はかなりの高値で取引されるでしょう。

私も、いくつか見積りを書いたりしていますが、正直に言えば今まで見たことのない価格での取引になっています。まあ、これまでが安すぎたということもありますし、やはりある程度の金額でお米の取引をしないことには、米農家の減少に歯止めがききませんので、致し方ない部分はありますが。

新米以降の価格の行方について予想していきましょう!

お米の価格の行方

令和5年産のお米は、近年稀にみる価格で推移しました。新米(5年産)の出始め時期こそ昨年より少し上振れ程度の価格でしたが、時が流れるにつれドンドンと値段は上昇していき、気が付けばこれまでより500円も600円も高いお米がスーパーに並ぶことになりました。

お米5㎏と言われると、大体の方は1800円前後、良いお米で2200円くらいをイメージするのではないでしょうか。

ですが、もうその値段で買えるお米はありません…。令和6年産はちらほらと店頭に姿を現し始めていますが、いずれも5㎏で2680円!正直高いです。でも、現在の米市場においてこれは正常な価格なんです。

そして、大事なことですが、この値段が基準となり令和6年産の価格が決まっていきます。私の見立てでは10月にかけて多くの新米が出回るにつれ、徐々に価格は落ち着いていくと思いますが、それでも5㎏2680円を下回り、昨年のように1680円や1780円で買えるお米はないと思います。あったとしてもそれは国内産複数原料米つまり何でもありのブレンド米です。

もちろんブレンド米が美味しくないわけではありません。ブレンド米については別途解説記事を出しますので是非ご確認ください。

【外国産】外国産米って美味しいの?

2024年の米不足がきっかけとなり、主にディスカウントストアなどで店頭に並び始めている外国産米。「アメリカ産米 カルローズ」というお米を初めて目にした方もいるのではないでしょうか?

近所のスーパーさんではこのような米袋で販売されていました。アメリカのお米と聞くと、本当に美味しいの?と思う方もいるかもしれませんが、近年では栽培技術の向上に伴い味もかなり良くなってきています。どこかまでは言及しませんが、大手チェーン店でも業務用として使用されていたりしますし、実は知らないうちに食べている方も多いんです。

ですが、日本の美味しいお米と比較するとやはり味としてはやや劣ってしまいます。これは輸入にかかる「時間」の影響が大きいです。アメリカの農家さんから買い取ったお米が日本にやってくる主なルートは船であり、アメリカで収穫後日本に来るまでには結構な時間差があります。その時間差でお米の品質は低下していってしまうんです。

決してまずいとは言いませんが、国産米と比較するとやや劣るといったところでしょうか。カルローズが店頭に並ぶ機会は、あまりありませんので、ぜひ食べてみてください!

コメント

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